04

2017/12/16

『ご、ごめんなさい…』
『……大丈夫…?』
『ありがとうね』
『君のおかげだよ』
『うん、また明日』
………………………
………………………………
…………………………………うん……
………どこかで聞いたかなこんなの……
…………知らないなぁ……………
……覚えてないのかな…………
…………まぁどっちでもいいか…………
『…………………………どっちでもいいの?』
……誰だお前?







「……っ、夢……か」
目を開くと馬鹿みたいに汗をかいていた。
なんだ。
今のはなんだ。
わからない、わからないし、知らない。
何も知らない。
何も、わからない。
その【夢】を考えれば考えるほど頭は熱を持つように痛む。
ギリギリと締め付けるようで、頭を開くように、引き裂かれるような痛み。
ガンガンする。
三半規管を潰しに来てるようにしか思えない。
気色が悪い。
吐き気しかしない。
心臓の鼓動が止まない。
脳の容量と事実の把握と理解に全てが費やされている。
息をするのも忘れる。
自分の記憶か?あれが本当に?
あんな子は知らないはずだ。
あんな、あんな出会いも、話も、笑顔も、言葉も、何も一切知って










「……さん、……丈…で…か……」
声が聞こえた。
「…こっち……ますか…!?」
誰かが呼んでいる。
「……さん!!!こっちが見えますか!!?」
ああ、戻らなきゃ。
「大丈夫ですか!!?」
「……おう」
目覚めた。
俺は何をしていた?
一体何を考えていた?
「はぁ…よかったです。
病状のことで話に行こうとしたらご友人が焦って私を呼びに来ましたから……何事かと焦りました」
先ほどの声の主は俺の思考を遮るように話をする。
目の前には先ほどの若い医者である。
どうせなら綺麗なお姉さんを目に入れたかった……。
しかし、どうやら本当にそのようだ。
襟が跳ね、ネクタイもズレていて、息を切らして走っていたように見える。
若くてできなさそうとかそんな評価を思ったのが申し訳ないと思えるくらいであった。
だが詫びたいが何故か詫びるのは癪に障る。
ツンデレではない、プライドである。
「……待て、駆けつけてくれたのはありがたいが今【友人】って言ったな?誰だ、俺には友人はいないはずだぞ」
「あなただいぶ悲しいこと言ってますよ……。
まぁ、いいですけど、こちらの方は友人じゃないんですか?」
悲しいかもしれないがこれも事実。
別に友人などいらぬ、生きれればなんとかなる。
一人じゃ死んじゃうウサギ系男子ではない。
それに俺は最低限の友人しかいないし、そいつらは地元に置いてきたはずだ。
倒れた後に誰にも連絡していないし、連絡は来ていないはずだ。
固定電話も今は付けていないし、あるのは自分の携帯電話のみ。
それに連絡が来たのなら誰かが教えてくれるはず……と思ったが最近ずっと寝てるな、無理だわ。
「誰だ誰だ、太陽か雪か、はたまた河童か天パか……って、……?」
あれ。
この子、どっかで見たことあるか。
いや、あるな。
ある。
絶対にある。
今見た。
体感時間にしてつい数分前、見た。
「……」
女の子は静かに会釈する。
緊張したように、心配したように、安堵したようにも見える。
何にでも見えてしまう。
それと同時に、はっきりとわからない。
そうしているとついに動作にまで障害が起こる。
顔を見ると同時に動悸が止まらない。
言葉が上手く出ない。
脳内がショートする。
どうしたらいいかもわからない。
ああ、どうしようと思ったその時、ようやく口から言葉が出た。
きっと、これがこの時に精一杯の言葉だったのだろう。
全てを思った故の言葉だった。
ただ一言。
「ちょっとタイム」
無理。やっぱり二度目は耐えられない。